クロージングとは
営業プロセスの最終段階で、顧客に商品やサービスを購入してもらうことで、営業の成果を決める重要なステップです。クロージングができなければ、どんなに良い商品やサービスを提供しても、売上につながりません。
クロージングの重要性
営業において最も重要なスキルのひとつです。クロージングができるかどうかで、営業成績や収入に大きな差が出ます。クロージングができる営業パーソンは、売上や利益を増やせたり、顧客満足度やリピート率を高められます。また、自信やモチベーションを高め、信頼や評価を得るなどのメリットを得られます。
クロージングの成功率を上げるために必要なこと
営業プロセスの最終段階ですが、それだけでは成功しません。事前準備と分析、提案と価値訴求、信頼関係の構築に取り組むことがクロージングの成功率を上げるうえで重要です。
事前準備と分析
顧客のニーズや課題、購買意欲や決断力、競合他社や市場動向などを調べておくことです。顧客に合わせた最適な商品やサービスの提案や顧客の疑問や懸念に対応することができます。また、顧客に対する信頼感や専門性を高められます。
事前準備と分析を行う際の方法として、下記の方法があります。
・顧客からの電話やメールでヒアリング
・面談を通して直接ヒアリング
・新聞や雑誌、インターネットから業界の情報収集
・競合他社や類似商品に関する情報収集
提案と価値訴求
顧客に商品やサービスの特徴やメリット、差別化要素などを伝えることです。顧客の購買意欲や興味を高めたり、商品やサービスの価値を認識させ、選択肢を限定させることができます。
ポイントとして、下記が挙げられます。
・顧客のニーズや課題に合わせた提案
・商品やサービスの特徴ではなく、メリットや効果を伝える
・差別化要素や競合他社との比較を伝える
・具体的な数字や事例、証拠などを用いて説得力を高める
信頼関係の構築
顧客とのコミュニケーションや関係性を深めることです。顧客からの信頼や好感を得たり、情報開示や協力を得られ、顧客からのクレームやキャンセルを防ぐことができます。
信頼関係の構築を行う際の方法には、下記が挙げられます。
・顧客に対する敬意や尊重(挨拶や礼儀、敬語など)
・共感や理解(感情的な反応や同意、共感表現など)を示す
・興味や関心(質問や話題づくり、話し方など)を示す
・信用や誠実さ(約束や連絡、正直さなど)を示す
クロージングのテクニックとコツ
BANT情報を押さえる
BANTとは、顧客のBudget(予算)、Authority(権限)、Need(ニーズ)、Time(時間)の頭文字を取ったものです。これらの情報を押さえることで、顧客が購入する可能性や条件を判断できます。営業プロセスの初期段階から随時収集し、更新しておくことが重要です。
イエスセット話法を使う
顧客に質問を投げかけて「はい」と答えさせることで、肯定的な気持ちにさせるテクニックです。「今日はお忙しい中ありがとうございます」「お話ししている内容に興味がありますか」「この商品はあなたのお悩みを解決できますね」などの質問をします。顧客が「はい」と答えることで、自分の意見に同意してくれていると感じさせることができます。
また、「はい」という言葉には心理的な連鎖効果があります。「はい」と答える回数が増えるほど、「はい」と答えやすくなり、最後に「では契約しましょうか」とクロージングの際にも「はい」と答えてもらいやすくなります。
ドア・インザ・フェイステクニックを使う
顧客に最初に高い要求を出して断らせた後、低い要求を出すことで、応じやすくさせるテクニックです。顧客に対して譲歩していると感じさせることで、恩返しの心理を働かせられます。また、最初の要求が高すぎると感じた顧客にとって、次の要求が妥当に見えるようになります。
テストクロージングをする
顧客が購入する意思を持っているかどうかを確認することです。「この商品はあなたのお悩みを解決できそうですか?」「この商品について何か気になる点はありませんか?」「この商品を使ってみたいと思いますか?」などの質問をし、顧客の答え方や態度から、購入意欲や不安などの感情を読み取ることができます。営業プロセスの途中で何度も行うことが望ましく、顧客の状況や反応に応じて営業戦略を修正できます。
二度にわけてクロージングする
顧客に最初に小さな決断をさせた後、大きな決断をさせることです。顧客に対してコミットメント(一度決めたことに責任を持つ心理)や一貫性(自分の言動に矛盾しない心理)を働かせられます。また、最初の決断が小さくて簡単なものであれば、顧客は抵抗感なく応じやすくなります。
クロージングの具体的なフレーズ
購入意欲を確認するフレーズ
顧客が商品やサービスに対してどれくらい興味や関心があるかを聞くことで、クロージングのタイミングを見極めるために使います。
- 「この商品はあなたのお悩みを解決できると思いますか?」
- 「このサービスはあなたのニーズに合っていますか?」
- 「この商品やサービスについて、気になる点はありますか?」
選択肢を提示するフレーズ
顧客に商品やサービスの中から自分に合ったものを選ばせることで、購入への意思決定を促すために使います。
- 「この商品はAタイプとBタイプがありますが、どちらがお好みですか?」
- 「このサービスは月額プランと年間プランがありますが、どちらがご希望ですか?」
- 「この商品やサービスは今日だけの特別価格ですが、どうされますか?」
決断を促すフレーズ
顧客に商品やサービスの購入を確定させることで、クロージングを成功させるために使います。
- 「それでは、お申し込みいただけますか?」
- 「それでは、契約書にサインしていただけますか?」
- 「それでは、お支払い方法をお選びください。」
クロージングのタイミングと方法を見極めるために必要なこと
顧客の反応や言動に注目する
購入意欲や決断力の高さを表す重要な指標です。商品やサービスに関する質問や疑問を積極的に投げかけたり、メリットや価値に同意や共感を示す、実際に触ったり試したりする、予算や納期などの条件交渉を始めたりするなどの反応や言動があれば、クロージングに近づいている可能性が高いです。
購買意欲や決断力が高まっているサインを見逃さない
顧客の反応や言動に注目するだけでなく、購買意欲や決断力が高まっているサインを見逃さないことも重要です。顧客が目を輝かせたり笑顔になったり、うなずいたり頷いたりする、「そうですね」「なるほど」「いいですね」などの肯定的な言葉を使う、「じゃあ」「それなら」「では」などの接続詞を使って話をまとめようとするサインがあれば、クロージングのチャンスです。
クロージングに適した場所や時間帯を選ぶ
顧客がリラックスして話せる場所や時間帯を選ぶことも大切です。顧客のオフィスや自宅などの顧客が慣れ親しんだ場所や喫茶店やレストランなど気分転換になる場所、朝や昼間など集中力や判断力が高い時間帯、金曜日や月末など、気分が良い日などを選ぶといいでしょう。
クロージング後、契約締結までの流れ
顧客に感謝の気持ちを伝える
クロージング後は、まず顧客に感謝の気持ちを伝えます。顧客との信頼関係を強化するだけでなく、購入後の不安や後悔を和らげる効果もあります。
契約書や見積書などの必要書類を準備する
商品やサービスの内容や条件を明確にするだけでなく、法的な保証や安心感を提供する効果もあります。書類はできるだけ早く送付し、内容に間違いや不備がないか確認しましょう。
アフターフォローを行う
商品やサービスの使用方法や注意点を教えたり、質問やトラブルに対応したりすることで、顧客の満足度やリピート率を高める効果もあります。アフターフォローは定期的に電話やメールで行い、顧客とのコミュニケーションを維持しましょう。
まとめ
クロージングに関する基本的な知識や具体的なフレーズを紹介しました。営業プロセスの最終段階で、顧客に商品やサービスを購入してもらうために必要なスキルです。ぜひ参考にして、あなたの営業力を高めてください。
この記事が営業活動のお役に立てば幸いです