チームの成果を引き出すインサイドセールス・マネージャーとは?

課題・用語解説
インサイドセールスはマネージャー層の情報がまだまだ少ないと言えます。これからインサイドセールスを立ち上げる方やマネジメントについて悩んでいる方に向けて、BOXILカンパニー インサイドセールス部で部長を務める吉田圭佑さんにお話を伺いました。

――なぜSaaS業界にチャレンジしようと思ったのですか

1社目は損害保険に5年程在籍し、事故対応や代理店営業をしていました。仕事を通じて環境が働く人のパフォーマンスに大きな影響を与えることを感じていたので、事業やサービスを通じて働く環境に対してアプローチできる業界への興味が生まれました。転職活動を進めるなかで、SaaSという業界を知り、SaaSは働く環境をつくるうえで今後、いっそう重要視される領域だと魅力を感じたこと、SaaSを広めたいという思いが生まれたことから、スマートキャンプへの入社を決めました。

現在は、SaaS比較サイト「BOXIL SaaS(ボクシル サース)」(以下「BOXIL」)のインサイドセールス(以下IS)組織でマネージャーをしています。特定のサービスに関わるより、SaaSそのものに日本の生産性を向上させる高い可能性を感じ、比較サイトというかたちでSaaSを日本に広めるサポートができることに魅力を感じています。

入社後に配属された、ISという職種は自分に合っていたと思います。もともと目標から逆算して戦略を立てたり、戦略に対してPDCAを回して改善を図ったりすることが好きだったからです。フィールドセールス(以下FS)は商談のクオリティーや話術などいわゆる営業能力が重要なのですが、ISは営業スキルと言うより、計画的に行動量を担保したり、ターゲットの動きを捉えて行動分解ができるかどうかが重要だと思います。ISは確率で戦う職種であり、そこが自分に合っていたんだと思います。

▼メンバーとして活躍されていた時のインタビュー記事

未経験者が、配属30日で社内記録を塗り替えた!?最速でトップインサイドセールスになる秘訣

――「BOXIL」においてISの役割はどのようなものですか?

営業組織として成果を出すには「新規顧客の獲得」と「既存顧客のアップセル/クロスセル」の両輪が正しく機能することだと思います。そのうちの前者を最大化することがISの役割です。そのため、「BOXIL」のISは営業組織全体で、最も受注成果に貢献できる動きはなにか?という観点で、手段ではなく成果にフォーカスしています。一般的にISが行う業務のイメージとして、営業資料の作成やセミナーの開催などを想起される場合が多いかと思いますが、「BOXIL」のISでは作成した商談からの受注金額を最も重要視しています。

――現在の業務内容を教えて下さい!

今は、BOXILカンパニー IS部 部長としてメンバーのマネジメントをしています。

まずKPIは前述の通り、作成商談からの受注金額で、達成に向けた考え方として、IS経由の受注金額=商談金額×(商談金額の受注金額への転換率)に分解して、2つの変数をコントロールするようにしています。例えば、目標金額が300万であれば1,000万円の商談金額を作って、30%の転換率のように設定して、それぞれの変数が設定を下回らないようにします。

次に、メンバーへの目標達成において重要視しているのが、下記の3つのポイントです。
1.週次のマイルストーン達成に向けた戦術を持っているか
2.立てた戦術が実現可能か
3.重要な案件に対して1to1のパーソナライズされた提案を準備できているか

なぜ重視しているかというと、1つ目に関しては週次というのがポイントで、月次でコントロールしようとすると「気がついたらあっという間に月末になっていた」というような状況が起こりがちなので、事前に月から週の単位でマイルストーンを設定しておくと良いと思います。

2つ目に関しては、戦術を立てて満足してしまうケースがありますが、
・実際に自分のアプローチするリストを見たら、計画の半分もリストが無い
・どう見積もっても計画した行動量を担保する時間が無い
ということも往々にしてあり、本人は気づかないものの傍から見ると、戦術自体がそもそも遂行できないことがあります。

3つ目に関しては、1つ目と2つ目が出来ているうえで、売上に直結するような重要案件が区別されているかと、そういった案件に対して、商談するメリットを感じてもらえるような充分な提案仮説があるかをチェックすることで、より達成確度を高めることが目的です。 

また、メンバーの提案スキル向上のため、商談、電話の解析ツールにフィードバックコメントを残しています。商談化から受注への転換率に関しては、週に1回アカウントセールス*(以下AS)部長と担当者の3人でミーティングを行い、ISからASへ渡した商談の後追いを1件ずつ確認して、必要に応じて、フォローアップするようにしています。

※BOXIL営業チームにおけるアカウントセールス(AS)=THE MODEL上におけるFSとCSの両方の機能を持つ組織

――ASに渡した後の動きもかなり細かく見る仕組みになっているんですね。後追いをするようになったきっかけを教えて下さい!

ある時期に、IS経由の受注金額目標をショートしたことがきっかけです。未達要因を振り返ると、受注金額は”商談金額”と”商談金額から受注金額への転換率”の2つで構成されているにも関わらず、IS部長として”商談金額”のみを改善させようと、視野が狭くなっていたことに気づいたんです。

営業統括本部長と改善に向けたプランを考えるなかで、”商談金額から受注金額への転換率”にあたるASが主に関わる数字も「ISが動かすことのできる変数」として捉えるべきと考えるようになりました。

実際に数字をよく見ると、
・商談化した案件の受注率が昔に比べて下回っていた
・特に商談金額の大きい商談の受注率が低下していた
など課題が明確になり、改善に向けたアクションを具体的に検討できるようになりました。ISとして商談金額の向上という役割をしっかり果たしながら、近接部署であるASにも関与すべき領域では関与し、協力を要請すべき場合には適切に意見を上げていくことを意識しました。

――ISの組織でマネジメントを行ううえで、メンバーに求めていることはなんですか?

チームで勝つために、成果につながる業務に集中してもらうことです。

ISは広範な業務に関与できるゆえ、成果につながりづらい業務にも手を出してしまいがちな側面があり、取り組みの優先順位を見誤らないように意識しています。成果によってメンバーが正しく評価され、新たなチャレンジ機会に恵まれるという流れを生めるように、いま本当にチームがやるべきことはなにかを考えるようにしています。

「Will・Can・Must」のフレームで考えると、多くの人が「Will」につながりそうな仕事をしたいと考えてしまいがちですが、「Must」を正しく果たすことで、後から振り返れば想像も出来なかったチャンスに巡り会えると思います。そのため、メンバーには、現時点でやりたいことと一部マッチしない業務があったり、辛かったりしても、5年後にあのとき頑張ってよかった!と思ってもらえるよう、なぜ成果が重要なのか、成果を出すことで自身のキャリアにどのようなプラスが生まれるのか、しっかり伝えることを意識しています。日々の業務はBDR*や休眠リードの掘り起こしなど地道な業務が多いので、メンバーには目標を達成することによるメリットや先の見通しを伝えるようにしています。目の前の面白さだけを求めるのではなく、チームが成果を出して、その成果で個人やチームがきちんと評価されることが重要です。

※BDR=Business Development Representativeの略でアウトバウンド型で新規顧客を開拓するためのインサイドセールス組織

――もともとISのメンバーとしても活躍されていましたが、マネジメントをするようになって、ISという職種に対する捉え方は変わりましたか?

マネジメントに関わるようになって、より一層、ISは誰でも、工夫次第で一定の成果を出すことができると思うようになりました。

ISはFSに比べて成果につながるプロセスを数字化しやすいので、数字を把握し、構造分解をしっかりできれば成果が出やすいと言えます。歩留まりを細かく見られる営業支援ツールを用いて、本人が歩留りを把握し、課題に気付ける仕組みを作っています。もし本人が気づかなければ、手遅れになる前に課題を共有したり、改善に向けたアクションを一緒に考えたりしています。

例えば、インバウンドの商談実績の数字が上がらないと、リードの質が悪いせいと考えがちですが、歩留まりをよく見ると、要因をより的確に捉えることが可能になります。具体的には、有効リードから接触リードへの転換率が低い場合は、問い合わせが発生してから5分以内に架電が正しく行われているかを確認します。次に、接触リードから商談化の転換率が低い場合は、トークの中身が問題ないかを電話の文字起こしツールで確認します。歩留まりを見て、何がネックになっているのかを正確に把握することが大事です。

――チームのKPIを達成するために、どのような工夫をされていますか?

目標達成に向けて、行動を明確にすることと、動かせる変数の中で達成できるようにしています。

1点目は、目標となる商談金額と期限が決まっているので、目標を達成するために何をいつまでにするか逆算し、行動ベースで追うことです。例えば、「次の金曜日までに234万円を生み出すために、休眠案件で何件、アウトバウンドは何件、リストは◯件必要だけど△しかないため厳しい。じゃあ架電先のリストを作らないといけないけど、いつまでにしようか」と目標から逆算して行動を落とし込みます。メンバーのキャリアとしても、細かく数字を追う力や歩留まりを見ていく力をつける方が、FSだけでなくマーケターなどキャリアの選択肢が広がると思います。

2点目は、ISが動かせる変数のなかで、どのように目標を達成するかを考えることです。例えば、LPからのリードに過度に期待しないという点では、当然CVRを高めるなどやるべきことはやる前提で、それでもコントロールが難しい、もしくはテコ入れをしても短期で受注というインパクトは弱いケースが多いため、ISとして休眠顧客への再提案や、アウトバウンドでの開拓に軸足を置くようにしています。自分が動かせない変数に関しては考えても仕方がないので、動かせる変数でいかに達成させるかを考えてほしいと伝えています。

――一般的にIS組織のマネジメントはメンバーのモチベーション管理が難しいイメージがあるのですが、吉田さんはどのように工夫されていますか?

モチベーションの管理は重要ではありますが、管理という意味でモチベーションに働きかけるアクションは控えています。本来ありたい順番としては、「成果が上がり、組織から評価され、新たなチャレンジに恵まれ、モチベーションが上がる」が正しいと考えています。そのため、数字が上がっていない時に、”居酒屋で熱い言葉をかけて一時的にモチベーションを上げる”といったアクションは一過性の対応ですし、チームのためにもならないと思います。

だからといって、ドライなコミュニケーションをするというわけではなく、一人ひとりのアクションをしっかり”見ている”ということは丁寧に伝えるようにしています。例えば、「この案件に関しては、〇〇さんのこのアクションがあったから商談化したと思います!」のような行動ベースで称賛するコミュニケーションをとるようにしています。

あとは、今の仕事の先に何があるかを伝えることはマネジメントレイヤーの仕事だと思っていますので、「『BOXIL』がNo.1になったら皆にとってはこうだね!」といった話をよくするようにしています。

――普段の業務や1on1でのメンバーへの接し方で気をつけていることはありますか?

マネージャーとしてメンバーが孤独感を感じないように意識しています。

現在は、オフラインでの業務も多いのですが、ちゃんとメンバーの頑張りを見ていることを伝えるという意味で、営業支援ツール上で作った商談へコメントをしたり、日報にスタンプやコメントを残します。

1on1では、目の前の目標についてしっかり話しつつ、四半期のタイミングにキャリアについてアウトプットして、方向性をすり合わせる時間を設けています。やるべきことにしっかり注力すると、3ヶ月ほどで一定の結果が残るので、結果をもとに得たノウハウを今後どのように展開するか、どうキャリアに生かすのかなど、話し合っています。

――ISという職種で実績を積んだ先に関して、どのようなキャリアがあると考えていますか?

まず、ISを起点としたキャリアの可能性は幅広いと感じています。スマートキャンプ内でも、ISからマーケティング部長や営業統括本部長、新規事業の責任者、ISの責任者といったポジションでキャリアの幅を広げている人も多いです。ISの経験を通じて身についた、顧客のニーズを正確に把握する、といった「顧客の解像度の高さ」は職種を問わず汎用的に求められるスキルだと思います。

一方で近年「IS代行」が増え、品質の向上も目覚ましいです。そのためISのスキルを極めた先に「社内人材だからこそできるアウトプットが出せているか?」を考えられる人は重宝されるようになると思います。例えば、「顧客のニーズをプロダクトに反映できるような企画や、他部署との連携ができる」や「社内に眠っている価値あるコンテンツを掘り起こして、顧客と関係性を構築して商談獲得する」といった能力です。

また、「広く浅く」はISのキャリアとして目指すべきではないと思っています。1〜2年はISとして商談獲得に専念するからこそ、価値ある経験や情報が得られます。ISマネージャーとしてそれらの経験をメンバーに還元するのはもちろんですが、もしもジョブチェンジを希望する場合は、そこでの学びをマーケティングや事業企画などのキャリアに生かす流れがいいと思います。

――最後に吉田さんが実現したいことを教えて下さい!

営業組織全体の目標である受注金額をKPIとしてチャレンジしているISはまだまだ希少だと思うので、インサイドセールスアウトソーシング「BALES(ベイルズ)」のメンバーとともに、「スマートキャンプのインサイドセールス」としてのブランドを、より高めていきたいと思っています!

――BtoBマーケティング手法や、インサイドセールスに関することは、ぜひスマートキャンプにご相談ください!

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