株式会社Bizibl Technologies 堅田 遼氏【インサイドセールス図鑑】

インタビュー・対談

ウェビナー業務の一元化と自動化で工数を削減し、アーカイブとデータ活用で成果を最大化する株式会社Bizibl Technologiesで執行役員 COOとしてインサイドセールスも管轄する堅田(かただ) 遼氏にお話を伺いました。

――これまでのキャリアについて教えてください。

 2017年にバーティカルSaaSを提供する企業へ入社しました。大阪支社で法人向けのフィールドセールス(以下FS)としてジョインをしたのですが、当初は営業組織としてはインサイドセールス(以下IS)とFSで分業している訳ではなく、テレアポも実施していました。1日に100件、200件とコールをするのはザラでしたし、週で1,000件も電話をしたけど1件しかアポイントが取れなかった、という悔しい思いをしたこともあります。飛び込み営業もしていて、この頃に「とにかくやってみよう!」という度胸がつきましたね。また、少しでも成功率をあげるために、自分で市場データをまとめた資料を作って飛び込みの時に持っていったりもしていました。

 この経験ができたのは自身にとって非常にプラスで、スタートアップで働く上で必要な「まずなんでもやってみる」という行動力につながりました。

 というのも、2021年の11月に入社した現職である株式会社Bizibl Technologiesは、私が代表に次いで2人目の正社員で、まさに0から事業を作り上げていくフェーズでした。当然広告費もほとんどかけられなかったため、営業については手元にあったスマートフォンでテレアポをすることからスタートしました。即時にその行動が取れて成果を出せたのは、前職の経験のおかげでしたね。

――現在の業務について教えてください。

 ISからFS領域と、カスタマーサクセス(以下CS)も一部管掌範囲です。営業全域を一気通貫で見ています。ISに関して言うと基本的に全部ではあるのですが、インバウンド施策をどう展開していくのかというマーケのような動きを行いながら、実際に流入してきたリードの管理とアプローチまで行っています。

――ISにはどんなイメージを持っていましたか。

 元々ISに持っていたイメージとしては、非常にありがたい存在だなと半分他人ごとのように感じている部分がありました(笑)というのも、前職では途中からIS部署ができ、前述のテレアポ業務がなくなりアポをトスアップしてもらえるように分業化されたのですが、そのタイミングで明らかに契約率や生産性が上がった実感がありました。ですのでポジティブなイメージが強く、事業を伸ばす上で重要だとは思っていました。

――実際に取り組んでみてどう感じられましたか。

 自社で取り組む中で、営業組織のフェーズによってISのミッションも大きく変わっていきました。それに伴い、ISの役割やKGI/ KPIなどの数値目標も変わってきました。

 本当に初期の頃は量を意識したコールドコールを実施していたので、ISというよりはテレアポ的な動きだったと思います。テレアポを行うことで、事業ニーズを肌感で捉えながら軌道修正を行えたり、初期顧客をクイックに獲得できたのは非常によかったです。一方、弊社サービス「ウェビナープラットフォームBizibl(ビジブル)」は、それこそISの方やマーケティング担当者がターゲットになるのですが、リモートワークの影響が強く、着電率が伸び悩んでいました。コールドコールなので代表電話宛の連絡がメインだったため致し方ないことですが、当然アポイントの量も増やせず…。新しい施策を検討しようという話になった時に、次のステップとしてウェビナーを実施することに決めました。

 実は恥ずかしながら、それまで私自身がウェビナーの企画、登壇をしたことはなかったため、まずは費用をかけずに実施できる施策ということで、見様見真似で案を出し、無料の告知媒体への掲載を開始しました。始めた当初は1~2名来てくだされば御の字という状態でしたが、毎週実施を続ける中で徐々に来てくださる方が増えていきました。リソースもなく、少人数の集客でしたが、今でも弊社の代表事例といえるような案件もそこから生まれました。

 そこではじめて、コンテンツマーケティングの重要性を感じました。コンテンツをこちらからGIVEして、一定以上ポジティブな印象を持たれた状態でアプローチするわけですから、お客様としてもアプローチされる理由がわかるのでスムーズにヒアリングに入れて、課題の深掘りやネクストアクションの設定ができます。顧客とIS、どちらの体験としてもすごくいいですよね。長い間コールドコールに取り組んでいた自分からすると、改めて衝撃的でした。ウェビナーに限らずですが、「コンテンツを作ることができる」能力はISに必須かなと思いますね。

――はじめた当初、ウェビナーの運営で苦労されたことはありますか。

 これはウェビナー担当者の方であれば共感いただけると思いますが、集客です。繰り返しになりますが最初の頃は申し込み者が1~2名の回もあり、当日開催したもののその方がいらっしゃらず、でも途中から参加されるかもしれないので1人で話し続ける…なんてこともありました。

 そんな状況の頃に共催ウェビナーのお誘いをいただき、初めて実施しました。そこで「お金をかけずにリード獲得できるなんて!」と感動した記憶があります。そこから定期的に共催ウェビナーを実施するようになり、一定数のインバウンドリードを担保できるようになりました。ISのお悩みとしてよくある、アプローチ先が足りないという課題が解消されました。

 本来この新規リード獲得はマーケの役割なのかも知れませんが、同じ課題があるのであれば、ぜひISから企画をあげて一度実施してみるのがいいと思います。予算が必要な施策ではありませんから。THE Modelで分業してるからマーケは関係ない、ではなく、必要に応じて他部署を巻き込んで目標達成の動きを取っていくのがISにとって大事な動きだと思います。共催ウェビナーを続けていった結果、一定の認知を業界内で獲得することができ、自然流入でのインバウンドリードの獲得もできるようになりました。

 現在はリード総数が増え、事業もようやくPMFできたフェーズですので、新規のチャネル開拓やリード管理体制の構築、採用を行ってのチーム化に取り組んでいます。

――ここまでウェビナーについてお伺いしましたが、営業活動で心がけていることはありますか。

 良質な顧客体験と自社のメリットを両立させることです。よく、「ウェビナー後のアポ架電が鬱陶しい」という話を聞きます。確かにニーズが全くない状態で電話が来ると、そのように感じるのは当然です。一方で、じゃあ全く電話すべきでないのかというと、それもまた違います。あくまで営利企業としてアクションを取る必要がありますから。

 だからこそ顧客目線でも良い体験をしてもらうことと、自社の利益の両立、インサイドセールスはそのために頭を捻ってクリエイティビティを発揮し、コンテンツを作ったり最適なコミュニケーション設計を作っていく。これがうちの営業指針でもありますし、IS全体に必要な考え方だと思っています。

――顧客にとって役に立つコンテンツを発信し続けるにはどうすればいいでしょうか。

 一次情報(自ら収集した、他者が持っていない情報)をいかに集めきれるか、これに尽きます。今の時代、コンテンツをただ作るだけだと正直誰にでもできます。それこそChatGPTなどのAIの力を借りればブログやメルマガなんかも簡単に作成することができる世の中になりました。ただ、他社と差別化できるような質の高いコンテンツを作るためは、自身が保有している一次情報をどれだけ反映できるかにかかっていると考えています。

 私自身、かなりの回数のウェビナーを自ら実施しており、自分で経験して得たノウハウを元にメルマガや営業資料などのコンテンツを作成してきました。実体験で自身の一次情報として蓄えたものを顧客に還元できるかどうかが、情報提供においてAIと差別化できる今後のポイントになると思っています。

――ISに取り組んでいて大変だと感じることはありますか。

 たくさんありますね(笑)先程お話した、顧客体験と自社メリットの両立の部分がどちらもうまくいかない状態になってしまったときは特に苦労しました。ある時、コンテンツの作成において少し手を抜いて、とりあえず電話をかければいいや、と行動量に逃げてしまったことがありました。案の定ではありますが、お客様からすると鬱陶しい営業電話に感じられてしまい、せっかくリソースを割いて打った施策でしたがほぼ成果はでないし、ISをやっている自分としても行動するのがキツい、という悪循環に陥ってしまいました。

 長く営業をやっているとどうしても中だるみしてしまう局面はあります。でもそんな時こそ冷静になって考え、手はかかっても成果につながるべきアクションを取るために発想を転換させることが大事だと思います。コンテンツを作成したりアプローチしたりを繰り返すうちに「作業」と化してしまっては、お客様のためにもならないですよね。

 もう一つ大変だと感じる点は、ISに関わる数値や定義の全体設計です。特に事業の立ち上げや検証フェーズでは、「アポが悪いのか」「提案が悪いのか」がわからず、原因の切り分けが難しいです。KPIを細分化してどこにボトルネックがあるのか可視化する必要がありました。その設計を行った上で、商談を打診するリードの基準設定なども行い、ISの効率化とFSの成約率向上を実現することが出来ました。

 私自身、行動に移すのは得意なのですが設計が苦手なので、非常に苦労しました(笑)。その後も都度数字を見て最適な基準に修正をかけながら、よりよい仕組みを構築しています。

――ISに取り組んでいて嬉しい経験について教えてください。

 自分の思い描いていたカスタマージャーニーが顧客にばっちり当てはまった時は嬉しいですね。アプローチをする際にはこのコンテンツを見てくれている方だから、課題や提案としてはこれをお話できたらよさそう、まで仮説を立てるのですが、当たり前ですが毎回当たるわけではありません。そんな中でぴったり提案がハマって、その流れで受注まで進み、お客様にも「ちょうどその情報が欲しいと思っていた」と言ってもらえる瞬間はものすごく気持ちいいです(笑)

 あとはコンテンツを褒めていただけた時ですね。評価されると成果につながるのはそうですが自身のやる気もアップして、また良いコンテンツが作れて…と好循環になっていきます。あと褒めていただけるというフィードバックがあることで、次はより深掘りしたテーマにしてみよう、など新しいアイディアにつながります。

――情報収集はどうやって行っていますか。

 営業を受ける立場になってみると、ISとしてもFSとしてもよい学びの場になります。単に商談を受ける、だけではなく、自身に届いているメルマガを淡々と開封するのでなく一番目を惹くタイトルはどれだろう?と考えてみるとか、他社のISから電話がかかってきた時は受け手としての体験を意識してみるとか。

 相手である営業パーソンの都合もあるので全くニーズのないサービスの話を聞くことはないですけど、他社、他者の営業スキルを普段の体験から学ぶことは大事にしています。やはりISの方からいい営業されると、商談を受けたくなるし導入検討もしたくなりますよね(笑)

――ISにおすすめのツールはありますか。

 私自身、FSをやっていた頃はMAやCRMはそこまで使っていなかったのですが、今の会社に入ってから使用し始めた「HubSpot」は非常に使い勝手がいいです。初心者にも優しいツールだと思います。

 あとはやはり自社サービスの「Bizibl(ビジブル)」です。私が昨年2月に初めてウェビナーに登壇してからずっと使ってるのですが、本当にいいプロダクトだなと思ってます!というのも、自身が登壇する中で「これがあったらもっといいな」と感じた機能を開発にフィードバックして、どんどん実装してもらってるんです。基本機能はもちろんですし、アーカイブ動画を時間になったら自動で配信できる自動ウェビナー機能だったり、顧客情報を「HubSpot」に連携してリアルタイムにインポート出来たり。ウェビナー担当者のかゆいところに手が届くシステムを、ウェビナー担当者自ら作っているので、本当におすすめです!

――なにかおすすめのリフレッシュ方法はありますか。

 最近はボクシングジムに通ってます。週1程度通っているんですが、運動はとてもいいリフレッシュになりますね。現代人って運動習慣があまり無い方が多いと思います。なので自分としては意識して日常に運動を取り入れていて、2~3時間でもスマホやPC、インターネットから切り離された状態で、体を動かすことに集中できる環境があるといいですよね。

 あとボクシングは闘争心が養われるので、営業にも活きてくるかもしれません!私は社会人2年目くらいの時に、営業成績に伸び悩んでいるタイミングで気分転換にボクシングを始めたんですが、そのタイミングで営業成果が著しくアップしたので(笑)

――これからの展望について教えてください。

 会社としてもお客様が増えてきて、おかげさまでプロダクトも愛用してもらえる状態が作れてきたと思っています。ここまで0→1で作り上げてきたので、次は1から10、100とどんどん大きいステージを目指していけるように、採用やメンバーの育成、成果を最大化するための仕組みづくりを行っていきたいと考えています。

最終的には私たちがウェビナーやISを通じて、お客様の購買体験をより良くしていき、「この会社は営業体験が良い」「マーケティングを真似したい」という風に思ってもらえる事業を実現していきたいです。
そのための仲間も現在募集しておりますので、ご興味がある方はぜひ私のTwitterにDM、もしくは弊社採用ページからご連絡ください!!

堅田様、ありがとうございました!

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最後までご覧いただきありがとうございました。
弊社では、今後も【インサイドセールス図鑑】にてインサイドセールス従事者のインタビューを連載予定です

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