HRクラウド株式会社の多村源起さんにお話を伺いました。多村さんは学生インターンの頃からHRクラウド株式会社でテレアポに従事され、現在はインサイドセールスとして活躍されています。
――これまでのキャリアについて教えてください
現在、新卒2年目でインサイドセールス(以下、IS)をしています。弊社にはHRSaaSと新卒向け人材紹介の2つの事業があります。入社前のインターンから新卒1年目の7月までは、人材紹介の事業でテレアポとキャリアアドバイザーを兼務していました。リストの上から順に最大1日300件の架電をこなしていました。
1年目の7月以降は、HRSaaS事業のインサイドセールスとしてSDRもBDRも担当しています。セミナー、ホワイトペーパーをダウンロードしてくださった方だけでなくSFAに入っているリードへのアプローチなど幅広く担当していたのですが、今年の1月からはSDR専任として業務にあたっています。また、2年目からは後輩のマネジメントにも携わっています。
――インサイドセールスに異動された時はどう思いましたか?
会社の意向でISに異動になったのですが、チャンスだと感じていました。今だから言えるのですが、人材紹介の事業では正直結果が出ておらずくすぶっていたので、新しい環境で働けることは嬉しかったです。逆に言うと、ここで成果を出せなかったら終わりだと腹をくくってISに挑みました。
また、自分の市場価値を上げていきたいとも思っていたので、LinkedinでISの求人倍率がカスタマーサクセスに次いで2位になっているのを見てポジティブに捉えていました。
――インサイドセールスとして成果を出すために何をされましたか?
異動したての頃はうまくいかないこともあったのですが、SFAを徹底的に分析して学ぶことで改善しました。ポイントはターゲットがどこかを見返して、アプローチする企業群を見極めることです。ISとしてアプローチをする中で、反応の良い企業群は分かってくるのですが、その肌感覚をより明確にするために行っています。
また、私は頭の中で振り返りをする頻度が多い性格なのですが、そこで何かしらの違和感を覚えた時には、SFA上のデータで落とし込んで確かめるようにしています。データを分析するというよりは、自分の予想が正しいかを確認するためにSFAをチェックするという使い方をしていますね。数値を見たり、整理するのが好きなのでISの業務は自分に合っていると思います。
――インサイドセールスに取り組む上で意識していることを教えてください
架電業務において、押し売りではなく合意をしっかり取った上で話を進めることを意識しています。そのために弊社では、顧客の心理状態に合わせてパーセプションフローを設計する流れを作るようにしています。
パーセプションフローとは、お客様の状況に合わせたアプローチが必要なので、相手に応じてアプローチ方法を変えるという手法です。それに沿って、担当者の興味があるかないか、担当者は導入していきたいけど社内で合意がないのか、などお客様の状況を伺い、認識のすり合わせをしながら提案を進めています。テレアポも経験しているからこそ、質にこだわっていくのはISならではだと感じています。
――インサイドセールスにパーセプションフローを導入した背景を教えてください
異動した時から、ISの一番面白いところはナーチャリングだと思っていました。ただ当初はISが営業目線に寄りすぎてしまうことで、ナーチャリングが十分に出来ているとは言えない状況でした。そこで、パーセプションフローによってIS組織が顧客との認識のズレを無くす役割を持ち、ナーチャリングができるようになるのではと考え、取り入れることを決めました。当時の上司がマーケティングとISの両方を管轄していたということもあり、異動して3ヶ月ほどの時にパーセプションフローの導入を提案したところ、後押ししてくださいました。
パーセプションフローをメンバーへ浸透させるのには、今でも苦戦している部分はあります。ISの架電業務では、5分ほどの会話で結果が変わってしまうので、即興性が必要ですよね。例えば、Yes/Noのクローズドクエスチョンで「興味、関心」を見極めたとして、その後それぞれどのような価値提供ができるのかを瞬間的に考えて提案しないといけないんです。質問はできたとしても、次のフェーズへ進むための価値提案をパターンごとに言語化するのが難しいのです。一般的にISのプレイヤーは新卒が多いので、営業経験がない方がほとんどだと思います。まずは、引き出しを増やすことで、様々な価値提案のパターンに対応できるようになると思います。
――インサイドセールスに携わる中で大変だと思うことはありますか?
マネジメント面でいうと、メンバーのどこにやりがいを感じてもらうかが難しいですね。弊社のIS部ではKPIがアポ数にあたるのですが、架電業務に対する変数は少ないと感じています。主に活動量、ターゲット、トークの3軸くらいしかないので、特にトークで工夫する点でやりがいを感じてもらえるように意識しています。もちろん、ISの業務は架電だけでなく、コンテンツ作りなどもあります。弊社ではまだ手を付けられていないのですが、今後は幅を広げてやりがいを増やしていきたいですね。私はあまりモチベーションについて言及するタイプではないので、プラスのやりがいをどう見つけてもらうかに注力していきます。
――インサイドセールスの成果が出始めたきっかけはなにかありましたか?
成果があがったきっかけは2つあります。1つ目は、SDRとBDRに組織をはっきり分けたことです。これはかなりインパクトが大きかったです。ISは5名でしたが、SDR2名とBDR3名に分けました。明確に分業化したことで、ハウスリストへのアプローチや問い合わせがあった時のリードに、SDRが専念できるようになりました。どちらも担当していた時は、何が変数になるのか見えづらかったのですが、チームを分けたことで見えやすくなりました。
2つ目は、失注リードや追客に注力したことです。実は昨年の7月から3月の間目標達成が出来ていなかったのですが、7月からは失注リードや追客を徹底して行ったおかげで安定して目標達成できるようになりました。始めるまではハウスリストの重要性に気づいていなかったので、着手できてよかったと感じています。
――インサイドセールス業務で活用しているものがあれば教えてください
情報収集はTwitterでしています。ISだけでなく、SaaS業界に関わる方も含めてフォローして、タイムラインを見るといった感じですね。Twitterで「採用管理」などと検索して、興味のありそうな方にリプやお電話することで、アポイントを創出したこともあります。
データベースとタスク管理には、Notionを使っています。先程もお話したように考えごとをし続けてしまう性格なのですが、すぐには答えの出ないことをいつまでも頭の中に残さないように、一旦Notionに書き出すようにしています。あと在宅ワークの時に、昇降式デスクを使用しています。姿勢を変えるだけでも気持ちが切り替わるので、少し値段は高いですがおすすめです。
――リフレッシュ方法について教えてください
自分の中で重要度の高かったり、やりたいと思っている業務に取り組めるとモチベーションが上がってくるので、通電率の悪い時間にそういった業務を入れるようにしています。そのために、通電率の悪い時間を自分で割り出したりします。それから、働く場所を変えるのもリフレッシュになります。午前中は家で仕事して午後から出社することで、気持ちを切り替えることも多いです。
――これからの展望について教えてください
ISを組織の司令塔にしていきたいです。そのためには、もっと部署間の連携を強めていく必要があると考えています。弊社にはSalesforceのアドミンが現状おらず情報の管理がカオスな状況になっているので、資格取得して情報を整理していきたいです。また、ISには新卒が多く入ってくるので、彼らにとって成果を出すための正しい努力ができる環境や仕組みづくりをしていきたいです。個人でいうと、ISでリーダーポジションを担わせていただいているので、まずはIS全体のマネージャーを目指していきたいです。その先では、SaaSに関わるマーケやカスタマーサクセスなど幅広く経験したいですね。