フィールドセールスとは
The Model型の組織においてよく使われる名称で、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスの中のポジンションのひとつです。
フィールドセールスは、直接顧客のもとに訪問して営業活動を行うことで、インサイドセールスと対比されることが多いです。インサイドセールスは電話やメールなどのリモートツールを使って営業活動を行います。
フィールドセールスの役割
役割は主に、新規開拓、既存顧客のフォロー、の2つに分けられます。
新規開拓
まだ取引のない顧客にアプローチして、自社商品やサービスを紹介することで、市場の拡大や競争力の向上に貢献します。
既存顧客のフォロー
すでに取引のある顧客に定期的に訪問して、関係性を維持したり、追加のニーズや課題を探り、リピートやクロスセルなどの売上向上を狙います。
フィールドセールスの特徴
売上に直結する重要なポジション
顧客のニーズや課題を深く理解し、最適なソリューションを提案することで、顧客満足度やロイヤルティを高めるとともに、売上や利益の向上に貢献します 。フィールドセールスは、インサイドセールスと比べて、より高いコミュニケーション力や交渉力が求められます。また、競合他社との差別化や付加価値の訴求など、マーケティングの観点からも戦略的な思考が必要です 。インサイドセールスと協力することで、より効果的な営業活動が可能になります。
顔が見える
顧客と対面でコミュニケーションを取ることで、信頼感や親近感を高められます。表情や態度などの非言語的な情報も読み取ることもできます。
深い関係性が築ける
顧客のニーズや課題を詳しく聞き出したり、自社の価値提案を具体的に伝えたりすることで、深い関係性を築けます。長期的な取引やパートナーシップを構築することも可能です。
高い成約率の可能性
顧客に直接会って話すことで、説得力や影響力を高められます。また、顧客の反応や質問にすぐに対応することで、成約までの時間を短縮できます。
フィールドセールスの組織体制や営業フロー
フィールドセールスの組織体制
企業や業界によって異なりますが、一般的には営業マネージャー、営業リーダー、営業メンバーの3つの役割があります。
営業マネージャー
チーム全体を統括し、目標設定や戦略立案などを行ったり、マネジメントやコーチングも行います。
営業リーダー
チームの一部を担当し、営業マネージャーの指示に従って、営業活動やレポートなどを行います。また、営業メンバーのサポートやモチベーションの維持もします。
営業メンバー
現場で、顧客に訪問して商品やサービスを提案し、関係性や情報管理を行います。
フィールドセールスの営業フロー
企業や商品によって異なりますが、一般的にはリードジェネレーション、アポイントメントセッティング、ファーストコール、フォローアップ、クロージングのステップがあります。
フィールドセールスの評価指標やKPI
企業や目標によって異なりますが、売上や成約率、訪問回数が評価指標やKPIになります。
フィールドセールスのメリット・デメリット
メリット
顧客との信頼関係を深める
顧客と対面でコミュニケーションを取ることで、信頼感や親近感を高められます。話を聞いてくれる営業担当者に好感を持ちやすくなり、表情や態度などの非言語的な情報も読み取れます。
ニーズや課題を詳しく把握できる
顧客の現場や環境を直接見ることで、ニーズや課題を詳しく把握できます。状況を理解してくれる営業担当者に信頼を寄せやすくなり、自社の商品やサービスを具体的に提案できます。
フィードバックや要望を直接受け取れる
顧客からのフィードバックや要望を直接受け取れます。意見や感想を伝えられる営業担当者に満足感を持ちやすくなり、商品やサービスの改善点や新しいニーズを発見することができます。
デメリット
移動時間や交通費などのコストがかかる
訪問するためには、移動時間や交通費などのコストがかかります。移動時間は営業活動に割けない時間になりますし、交通費は営業経費になり、営業効率や利益率に影響します。
一日に訪問できる顧客数に限りがある
事前にアポイントメントを取ったり、移動したりする必要があります。一日に訪問できる顧客数は時間的に限られてしまいますので、営業成果や市場シェアに影響します。
フィールドセールスとインサイドセールスとの違い
フィールドセールスと対比されることが多い営業方法がインサイドセールスです。フィールドセールスとインサイドセールスの違いは、以下のようにまとめられます。
インサイドセールスとは
電話やメールなどのオンラインツールを使って営業活動を行うことです。フィールドセールスに比べてコストや時間を節約できたり、より多くの顧客にアプローチできたりするメリットがありますが、顧客との距離感が大きくなったり、表情や声のトーンなどの非言語的な情報が伝わりにくくなったりするといったデメリットもあります。
フィールドセールスとインサイドセールスとの比較
フィールドセールスとインサイドセールスは、顧客とのコミュニケーション手法や戦略において異なる特徴を持っています。 フィールドセールスは対面での直接のコミュニケーションに焦点を当てたアプローチで、顧客のニーズを直接確認し、適切な商品やサービスを提供することが主な目的です。 インサイドセールスはデジタルツールを中心に、遠隔でのセールス活動に特化しており、顧客との関係を築く方法に特化しています。
それぞれの違いを表にしました。
フィールドセールス | インサイドセールス | |
コミュニケーション方法 | 対面 | 非対面 |
移動コスト | 高い | 低い |
商談時間 | 長い | 短い |
対応できる顧客数 | 少ない | 多い |
顧客との信頼関係 | 深い | 浅い |
ニーズや課題の把握 | 詳しい | 大まか |
フィードバックや要望の受取 | 直接 | 間接 |
フィールドセールスの効果的な営業方法
営業全体のプロセス
リードジェネレーション
潜在的な顧客(リード)を見つけることです。ウェブサイトやSNSなどのオンライン媒体、展示会やセミナーなどのオフラインイベント、紹介や口コミなどの方法があり、自社の商品やサービスに興味や関心がある顧客をターゲットにします。
アポイントメントセッティング
リードに連絡して、訪問する日時や場所を決めることです。電話やメールなどのリモートツール、直接訪問などの方法があり、顧客の都合や関心度を確認し、訪問の目的や内容を伝えます。
フォローアップ
顧客を訪問して、商品やサービスの提案やデモなどを行うことです。パンフレットやカタログなどの資料、パソコンやタブレットなどのデバイス、サンプルや試用品などの方法があり、顧客のニーズや課題に合わせた価値提案を行い、質問や懸念事項に答えます。
クロージング
最終的に顧客に契約を締結してもらうことです。契約書や見積書などの書類、割引や特典などの方法があり、またインセンティブがあります。顧客の意思決定者や予算を確認し、価格交渉や条件提示を行います。
営業テクニック
オープニング
顧客と初めて会ったときに行う自己紹介や挨拶です。オープニングでは、明るく笑顔で挨拶し、名刺交換を行います。また、事前に調べた顧客の情報や共通点を話題にして親しみを持たせます。
クエスチョニング
顧客に質問をしてニーズや課題を聞き出すことです。オープンエンド(自由回答)型とクローズエンド(選択肢)型の質問を使い分けます。また、5W1H(Who, What, When, Where, Why, How)を使って具体的かつ深く質問します。
リスニング
顧客の話を聞くことです。相槌やうなずきなどのノンバーバル(非言語的)な反応や要約、確認などのバーバル(言語的)な反応を示します。さらに、感情や動機などのメタメッセージ(言葉の裏にある意味)にも注意しましょう。
プレゼンテーション
自社の商品やサービスを顧客に紹介することです。顧客のニーズや課題に対する解決策として商品やサービスの特徴やメリットを伝え、ストーリーやエピソードなどを使って興味や感情を引き出します。
オブジェクションハンドリング
顧客の反対や疑問に対処することで、顧客の意見を否定せずに受け入れます。また、理由や根拠を聞いて理解しようとし、事実やデータなどを使って反論や説得を行います。
トライアルクロージング
顧客の購買意欲や決断度を確認することです。クローズエンド型の質問を使って顧客の反応を見ます。例えば、「この商品はいかがでしょうか?」、「今日は契約できますか?」などです。
クロージング
最終的に顧客に契約を締結させることです。トライアルクロージングで得た情報をもとに、最適なタイミングで契約を求めます。また、顧客が迷っている場合は、割引や特典などのインセンティブを提示します。
フィールドセールスに必要なスキル
コミュニケーション能力
顧客と円滑にコミュニケーションを取る能力です。話す力だけでなく、聞く力や伝える力、言葉だけでなく、表情や身振り手振りなどのノンバーバルコミュニケーションも重要です。
プレゼン・提案力
自社の商品やサービスを魅力的に紹介する能力です。顧客のニーズや課題に対する解決策として価値提案を行います。また、ストーリーやエピソードなどを使って興味や感情を引き出します。
マーケティング力
市場や顧客の動向を分析し、自社の商品やサービスに合わせた戦略を立てる能力です。データや情報を収集し、分析・活用し、競合他社や自社の強み・弱みなども把握します。
フィールドセールスを成功させるために必要なツール
CRMツール
顧客関係管理ツールのことです。CRMツールを使うことで、顧客情報や営業履歴の一元管理やニーズや課題の分析、顧客とのコミュニケーションを記録したりできます。
SFAツール
営業支援ツールのことです。SFAツールを使うことで、営業活動の効率化や自動化、営業パフォーマンスやKPIの可視化、営業戦略や予測を立てることができます。
まとめ
今回は、フィールドセールスとは何か、役割や特徴、インサイドセールスとの違い、効果的な営業方法、必要なスキルについて解説しました。フィールドセールスは、顧客との信頼関係を築くことができる反面、移動時間や交通費がかかるなどのデメリットもあります。
この記事が営業のお役に立てば幸いです。