法人営業とはどんな仕事なのか
企業や団体などの法人顧客に対して商品やサービスを提案・販売する仕事です。法人営業は個人営業と比べて、以下のような違いや難しさがあります。
法人営業と個人営業との違い
法人営業 | 個人営業 | |
取引額 | 数百万円〜数億円 | 数千円〜数万円 |
決裁者 | 担当者上司経営者 | 購入者のみ |
契約期間 | 長期 | 短期 |
法人営業の仕事の難しさ
同じ商品やサービスを提供する他社と競合することが多いです。価格や品質だけでなく、提案力や交渉力も求められます。
また、顧客のニーズや課題を把握するために、多くの情報収集が必要です。市場動向や競合分析だけでなく、顧客の経営状況や組織構造も理解する必要があります。さらに、自社商品やサービスを提供するために、社内の他部署と連携し、開発部や製造部などとコミュニケーションを取り、納期や品質を確保する必要があります。
法人営業の種類と手法
法人営業の種類
新規開拓営業
これまで取引のなかった顧客に対してアプローチし、商品やサービスを提案・販売することです。新規開拓営業ではリストアップ、アポイントメント、ヒアリング、提案、クロージングの流れで進めます。
メリットは、新たな市場や顧客を開拓でき、自分の提案力や交渉力が試され、成果が目に見えやすいことです。一方で、顧客との関係が浅かったり、断られることが多い、アポイントメントが取りにくいといったデメリットもあります。
既存顧客営業
すでに取引のある顧客に対してフォローアップし、商品やサービスの追加購入や更新を促すことです。既存顧客営業では、アフターフォロー、クロスセル、アップセル、リピートの流れで進めます。
メリットは、顧客との関係が深く、信頼関係があり、商談がしやすいことです。一方で、新規開拓よりも成果が出にくいことや競合に奪われる可能性があること、付加価値を提供し続ける必要があることがデメリットです。
法人営業の手法
ソリューション営業
顧客の課題やニーズを把握し、それに合わせた最適な商品やサービスを提案する営業のことです。IT企業の法人営業では、顧客の業務効率化やコスト削減などの課題を解決するために、システム開発やクラウドサービスなどを提案します。顧客との信頼関係を築き、長期的な取引を目指します。
コンサルティング営業
顧客の経営や事業に関する課題やニーズを分析し、それに対する戦略や方針を提案する営業のことです。コンサルティング会社の法人営業では、顧客の市場環境や競合分析、組織改革やマーケティング戦略などを提案します。顧客に対して専門的な知識や見識を示し、高い付加価値を提供します。
法人営業に必要な5つのスキル
コミュニケーション力
相手の話を聞く力や自分の考えを伝える力のことです。様々なレベルや立場の人と話す機会が多いため、コミュニケーション力が重要です。顧客の担当者や経営者と話すときは、敬語やビジネス用語を使って丁寧に話す必要があります。また、自分の商品やサービスについて説明するときは、わかりやすく簡潔に話す必要があります。
プレゼンテーション力
自分の提案やアイデアを相手に伝える力のことです。顧客に対して商品やサービスの価値や効果を示すためにプレゼンテーションを行うことが多いため、プレゼンテーション力が重要です。資料やグラフなどを使って視覚的に訴求することが効果的です。また、声量や話し方なども相手の注意を引くことができます。
交渉力
自分と相手の利益をバランスよく調整する力のことです。顧客との契約や価格などについて交渉することが多いため、交渉力が重要です。相手の立場や要望を理解し、自分の提案や条件を説得力ある根拠で示しましょう。また、妥協点や譲歩点を見つけることも大切です。
情報収集力
自分の商品やサービスに関する情報や顧客の情報などを効率的に集める力のことです。市場や競合の動向や顧客の課題やニーズなどを把握することが多いため、情報収集力が重要です。インターネットや書籍などの公開されている情報だけでなく、人脈やネットワークなどの非公開の情報も活用することが有効でしょう。また、情報を整理・分析・活用することも大切です。
プロジェクト管理力
自分の商品やサービスを顧客に提供するまでの一連の流れを管理する力のことです。契約から納品までに多くの工程や関係者が関わるため、プロジェクト管理力が重要です。目標やスケジュールや予算などを明確に設定し、進捗や品質などを常に確認・調整することが必要です。また、社内や社外の協力者と連携・調整することも大切です。
法人営業に向いている人
経営や事業に関する興味や関心が高い人
顧客の経営や事業に関する課題やニーズを理解し、それに対応した提案を行う必要があります。経営者の考え方や戦略に興味があったり、事業の市場環境や競合状況に関心があったりする人は向いているでしょう。
社内調整ができる
自分の商品やサービスを顧客に提供するために社内の部署や担当者と連携・調整する必要があります。自分の提案内容や契約条件などを社内で承認してもらったり、納品スケジュールや品質などを社内で確保してもらったりする人に適しています。
提案・プレゼンテーション能力が高い
自分の商品やサービスの価値や効果を顧客に伝えるために提案・プレゼンテーションを行うことが多いです。なので、顧客の課題やニーズを的確に捉えて解決策を示したり、資料やグラフなどを使って視覚的に訴求したりすることができる人は向いています。
法人営業のメリット・デメリット
メリット
経営者との人脈が作れる
顧客の経営者や幹部と直接話す機会が多いので、経営者との人脈が作れます。経営者との人脈は、今後の取引や紹介などに役立ったり、自分のキャリアやビジネスに有利になります。
大きな取引やプロジェクトに携われる
顧客の商品やサービスの購入金額や契約期間などが個人営業よりも大きいことが多いです。大きな取引やプロジェクトに携わることは、自分の実績や評価につながったり、自分の商品やサービスの影響力や貢献度を高めたりできます。
デメリット
競争が激しい
顧客の数や購入金額などが限られていることが多いです。競争が激しいことは、自分の商品やサービスを差別化したり、顧客から選ばれたりすることが難しくなったりします。
長期的な信頼関係の構築や維持に時間や労力がかかる
顧客との信頼関係を築くことが重要です。自分の商品やサービスを売るまでに時間がかかったり、顧客からの要望に応えたりすることが大変になったりすることがあります。
法人営業のキャリアパスと将来性
キャリアパス
管理職への昇進の可能性がある
自分だけでなく部下やチームを率いて目標達成を目指す管理職への昇進の可能性があります。管理職になると、自分の責任範囲や権限が広がりますが、同時に部下や上司とのコミュニケーションや報告などの負担も増えます。管理職になるためには、自分の実績や評価だけでなく、部下やチームの育成やマネジメント能力も重要です。
専門職への転身や独立の可能性がある
自分の商品やサービスに関する専門的な知識や経験を積めるので、転身や独立の可能性が高まります。専門職への転身や独立には、自分の強みや得意分野を見つけることが大切です。また、自分の商品やサービスを売り込むには、営業力だけでなく、マーケティング力やブランディング力も必要です。
将来性や市場動向
需要は高く、市場は拡大している傾向にある
企業や団体などの法人顧客に対して商品やサービスを提供する仕事なので、どんな業界や分野でも必要とされます。特に、ITや医療、環境などの成長分野では、新しい技術やソリューションを提案する法人営業の需要が高まっています。また、グローバル化やオンライン化により、国内だけでなく海外の法人顧客とも取引する機会が増えています。これらのことから、法人営業の市場は今後も拡大していくと考えられます。
コロナ禍やデジタル化により、方法や環境の変化
コロナ禍やデジタル化により、法人営業の方法や環境も変化しています。コロナ禍では、対面での訪問や商談が難しくなり、オンラインでのコミュニケーションが重要になっていました。現在は制限も緩和され、これからはオンライン、オフラインをシーンごとでうまく使い分け、最適なコミュニケーションを取っていくことが重要になります。デジタル化では、インターネットやSNSなどを活用して顧客を探したり情報を発信したりする必要があります。これらの変化に対応するためには、柔軟性や創造性が求められます。
まとめ
今回は、法人営業とはどんな仕事なのか、種類と手法、5つのスキル、法人営業に向いている人、メリット・デメリット、キャリアパスと将来性について徹底的に解説しました。
法人営業とは、企業や団体などの法人顧客に対して商品やサービスを提案・販売する仕事です。営業の中でも特にやりがいのある仕事ですが、それに見合うだけの努力とスキルが必要です。
この記事が営業活動のお役に立てば幸いです。